- フリーランスの単価はどのように決めたら良いのだろう
- フリーランスで見積書の項目はどのように決めたら良いのだろう
- フリーランスで価格表は必要?
今回は、そんなWebデザイナー・ディレクター・エンジニアの方のお悩みに答えます。
自分もWeb制作の仕事をし始めて16年目、フリーランスも5年以上になりますが、昔の自分もお金の計算については頭を悩ませたりすることもあったため、同じような悩みを持つ方に向けて、わかりやすくこれらの方法についてまとめ、今後の案件においてスムーズに見積もりができるようになればと思います。
フリーランスの単価と見積書の重要性
Web制作を仕事としているフリーランスにおいて、見積もりの決め方はとても重要です。
安易に見積もりをしてしまうと、思った以上に工数がかかり、想定していたコストよりもかかってしまうこともあります。
また、曖昧に見積もりをすると、後からあれもこれもやってほしい、それも入ってるよね?といった形でどんどん工数が膨れ上がっていく可能性もあります。
そうならないためには、事前にそうならないための策を定義する必要があり、そうしておくことで後から増えたものは追加見積もりをすればよく、時間が足りないといったことも最小限に減らせます。
それではまずは単価の決め方を説明していきますね。
フリーランスの単価の決め方
まずは単価の決め方です。私の場合は時間単価を決めて、それを元にかかる時間を工程ごとに決めていきます。よって単価とは時給と同じです。
ではその金額はどのように決めれば良いか。
まず、直近の自分の給料を時給計算してみてください。
例えば、直近の月額給与が48万円だとします。
そうすると、1ヶ月の稼働が20日、1日の稼働が8時間だとすると、
480,000円 ÷ 20日 ÷ 8時間 = 3,000円
となります。これは単に参考にし、今度は、自分が希望する金額を出してみましょう。
例えば、いや64万円は欲しいとすると、
640,000円 ÷ 20日 ÷ 8時間 = 4,000円
です。
参考までに、一覧にしますね。
月額(20日フルコミットの場合) | 時間単価 |
160,000円 | 1,000円 |
320,000円 | 2,000円 |
480,000円 | 3,000円 |
640,000円 | 4,000円 |
800,000円 | 5,000円 |
960,000円 | 6,000円 |
ちなみに、Webディレクターの場合、紹介会社を利用して業務委託を受ける場合、紹介料が引かれた上で、月に60万円から80万円が多いですので、ある程度経験のある方であれば、月額80万円あたりが妥当ではないでしょうか。要は、
800,000円 ÷ 20日 ÷ 8時間 = 5,000円
です。エンジニアですともうちょっと高くても良いかもしれません。
ちなみにこれは経験が結構ある人の場合ですので、経験年数が少ないともっと安いかもしれません。
ちょっとまだ自信がないな、まだ経験が少ないな、という場合はその分減らすのもありですが、一番分かりやすいのは、先ほども書きました通り、エージェントなどを複数使ってみて自分がどのくらいの金額なのか、を把握することでわかります。
なぜなら、自分の経験をもとに、それにあった単価の案件を紹介してくれるからです。
そこから逆算して、まずは時間単価を決めましょう。
https://torublog.com/freelance-agent-compare/
フリーランスの見積項目の決め方
次に、その時間単価をもとに、今回受ける案件はどれくらいかかるか、を決めます。それを決めるには、「何に」「どのくらいの時間をかけてやるのか」が分かれば決まります。
そのためには、「何に」の部分をはっきりさせる必要があります。
この段階では、見積書の項目に書く内容などは無視してください。やる必要があることを、順番に「全て」書き出します。
例えば、テンプレートを使用したWordPressサイトの構築、を例に挙げると、
プロジェクト管理
- スケジュール作成
- ミーティング
サイト設計
- サイトヒアリング
- デザインヒアリング
- WordPressテンプレート検討
- ページ設計
開発関連
- サーバー・独自ドメイン設定
- WordPressインストール・初期設定
- WordPressプラグイン設定
- アクセス解析設定
- WordPress組み込み・デザインカスタマイズ
サポート
- 外部システム調査・導入・設定
- サイト運用レクチャー
実費
- WordPressテンプレート代
ざっくりですが、こんな感じでしょうか。重要なのは、すべての工数を見積もるということです。例えば、以下のような項目です。
ミーティングの工数
打ち合わせなども初回のヒアリングは良いとしても、毎週打ち合わせが必要なのか、すべてビデオ会議で良いのか、何回やるのかによって何時間かかるか変わりますよね。その辺りもしっかり決めましょう。
ヒアリングの工数
サイトを制作するためには、どんなサイトにしたいのか、何が必要か、どんなデザインにしたいのか、外部のサービスを使う必要があるのか、などをすべて伺った上で進める必要があります。もちろんそのあとに詳細見積もりが決まります。ですがここに時間がかかったりすることも多いため、そこも工数に入れます。
特に、どこまでやるのか、何回やるのかはきちんと決めておくと後々問題が起きにくくなります。例えば、
- デザインの修正は2回まで
- ミーティングは3回まで
- テンプレートはトップページ+5テンプレート(Page,Archive,Single,Search,404)
- ページ設計・作成は10ページまで(固定ページ)
などです。また、どちらがやるのか確認が必要なものもあります。
- サーバー・ドメインの取得はどちらでやるか
- ロゴデザインはデータをもらえるのか、それとも作成も含むか
また、これは含まないよ、というものも明記する必要がありますので、それも伝えておく必要があります。(これについてはページ下で記載しています)
また、たまに作りたいサービスや事業のサイトを依頼されるときに、どういうサービスにするのか、どういう事業にするのか、ビジネス設計について聞かれる場合もあるのですが、それはアドバイス程度であれば良いものの、大きくなってくるとビジネスコンサルが別途必要なため、どこまで対応するのか、そもそも自分ができるのか、は事前に細かく確認が必要です。
各種調査の工数
例えば、何か予約フォームなどで複雑なことをしたい場合は、WordPressのプラグインで実装するよりも、外部のサービスを使う方が良いですが、様々なサービスがあり、それぞれ機能が異なるため、比較検討と、どれがマッチするかの調査が必要になります。
その上で、それを使ってどう運用するのか、どういう流れでユーザーは使うのかの設計が必要になってきます。
設定関連の工数
対して工数はかからないものの、サーバー・独自ドメイン・WordPressインストール・初期設定は必要ですよね。また、基本的なWordPressプラグイン設定や、アクセス解析の設定など、チリも積もればそれなりの工数になってきます。
レクチャーの工数
サイト公開後にどのように運用するのか、どこで何をすればどこを更新できるのか、設定はどこでいじるのか。あらかじめレクチャーする必要がある場合はその工数も見積もっておきます。また、マニュアルを作って欲しい、という希望がある場合はさらに工数がかかりますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
見積もりに含まない工数
あらかじめ、これは見積もりに入っていませんよ、というものを見積もり時にお伝えしておくことが親切で、あとあとトラブルになったりしないため、以下のようなことは説明した上で見積書の備考にでも記載しておくと良いです。例えば、
- ページが増えた場合は追加見積もり
- 画像素材は実費購入となる
- 公開後の運用更新は別途見積もり
などです。公開後に、当然のように修正や変更をさらっと依頼されたりしないように。
公開後、ここの範囲は2ヶ月間は変更や差し替えは対応します、などの取り決めをしておくのもありです。
また、何かバグなどがあった場合の対応について(瑕疵期間)も話しておくとより親切です。大きい案件では通常契約書に盛り込みます。
フリーランスの見積もり方法
では、何をするかが明確になったら、それぞれ何時間かかるかを見積もります。
各項目ごとに、何H、とメモ書き程度で書きましょう。
修正の工数も忘れずに。
それを合計すると、すべての行程でかかる時間が出ますので、それに最初に出した時間単価をかけると、見積もり金額になります。
ただ、ここでさらに見積もりに追加する場合があります。例えば、
- 「かなり」短い期間で作らないといけない場合の特急料金
などです。例えば、会社員で深夜勤務をする場合25%賃金が増えますよね。追加するかしないか、何パーセント追加するかは自由ですが、このくらいが妥当かと思います。
フリーランスの見積書の書き方
ここまでできたら、ようやく見積書が作れますが、出した項目全てを見積書に書く必要はありません。
例えば、ミーティングいくら、みたいなものは不要です。プロジェクト管理費などと項目を立てる人もいますが、人により異なります。
クライアントが見てわかりやすいように、何か項目が不要になった場合にこちらが損をしないように、ある程度項目をまとめて、あえて書かない項目については他の項目に金額を割り振りましょう。もちろん、全項目書いてもOKですが、わかりやすいか、相手が理解できるように書けるか、と相手の目線に立つことを意識しましょう。
見積書は、昔はエクセルなどで作成していましたが、いまは簡単に作成できたり、郵送までしてくれる便利なサービスがたくさんあるため、そちらを使った方が便利です。
フリーランスに価格表は必要?
最後に、価格表についてですが、結論からいうと不要です。
なぜなら案件ごとに細かい要望や仕様が異なるため、一概にいくらくらいとは言えない部分があります。もし出してしまうと、そこからあまり上げにくくなってしまったりするため、もし参考程度に作成する場合は、そういった制限事項や参考であるということを必ず明示する必要があります。
以上です。
これらを元に、納得のいく案件を納得のいく価格で、たくさんスムーズでこなしていきましょう!
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